院長が「カゼの後に咳だけ続きませんか?-長引く咳について-」の講演を行います

平成30年9月14日13時30分より

  東灘区医師会館(御影中町4丁目1-8:東灘警察署の一本西側)にて

院長が「カゼの後に咳だけ続きませんか?~長引く咳について~」の講演を行います。

講演内容は以下の通りです。

 感冒後に咳が治らず、咳き込みも激しくなり、夜も寝られなくなり、仕事にも影響が出たりして医療機関を受診される方が非常に多くなっております。特にこの時期、秋には咳が増悪する方が多くなります。咳をひき起こす疾患は様々であり、それぞれの特徴を解説いたします。後半では、長引く咳の原因の約半数を占めている喘息について解説いたします。

 咳嗽は発症からの持続時間により急性咳嗽、遷延性咳嗽、慢性咳嗽に分類されますが、急性咳嗽では感染症が原因となる比率が高く、発症後の持続時間が長くなるにつれて感染症以外が原因となる比率が高くなります。咳嗽の診断のためには、こうした咳の持続時間以外に、喀痰や発熱の有無、症状の出現時間、誘発因子、随伴症状、薬剤使用歴などの問診が重要となります。こうして得られた情報と聴診所見や画像所見、呼吸機能検査等を組み合わせて診断を行います。長引く咳の場合、そのまま自宅で様子を見ていても良い咳と、病院を受診すべき咳なども説明いたします。

 長引く咳の原因として最も多く、近年増加傾向にあり、放置すると知らないうちに重症化することのある喘息について、病態、検査、治療、最後に悪化誘因とその対策などについて解説いたします。喘息は、好酸球をはじめとした炎症細胞による慢性的な気道炎症(ただれ)が病気の本態であり、この気道炎症により気道が刺激に対して過敏な状態となります(気道過敏性の亢進)。そこにアレルゲン、ウイルス感染や大気汚染などの刺激が加わることにより発作を起こします。気道炎症が持続したり、発作を繰り返したりすることでより病態が悪化していきます(気道リモデリング)。

 検査としては、呼吸機能検査、気道可逆性試験、呼吸抵抗測定、気道過敏性試験や呼気一酸化窒素(NO)検査などがあります。特に呼気NO検査は10秒間息を吐くだけで気道炎症の状態を調べられる簡便な検査であり、喘息の補助診断として有用な検査であります。

 喘息治療の基本は、日常管理と薬物療法になります。日常管理として、環境整備や生活管理などが重要であり、薬物治療は、大きく長期管理薬と発作治療薬に分けられます。症状がなくても毎日使用することで発作を起こさないようにする長期管理薬を継続的に使用し続けることが特に重要となります。薬物治療では、長期管理薬も発作治療薬も主として吸入薬を用いますが、正しい吸入方法をマスターすることが大切です。

 喘息を悪化させる要因として、アレルゲンの確認は重要であり、自身のアレルゲンにあわせた対応が必要になります。喘息患者さんで多いダニやペットアレルギーの対策や、タバコ、感染症、体重、併用薬などの悪化要因対策について解説いたします。

 咳はカゼなどのときにもみられる症状であり、長引く咳もカゼの一症状と考えられたり、歳のせいと考えられたりして、放置される場合があります。咳は日常生活にも大きな影響を及ぼす症状でもあり、咳が長引く場合には早めに医療機関を受診するようにしてください。


・東灘区医師会館(御影中町4丁目1-8:東灘警察署の一本西側)

投稿日:2018年9月14日|カテゴリ:お知らせ