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結核はどんな病気?

結核菌が体内に入り込むことで起こってくる感染症です。昭和20年代まで「国民病」とされて恐れられ、日本人における死亡原因の1位でした。当時年間10万人以上の方が、結核が原因で亡くなっていました。その後、生活水準の向上や治療薬の出現により、死亡者数は徐々に減少してきましたが、2013年において、いまだに2087人が死亡しており、2万人以上の方が新たに結核と診断されています。このように結核は決して過去の病気ではなく、日本は依然として結核の「中まん延国」であります。

 

結核の症状

初期症状は咳、痰、微熱などで、風邪と似ていますが、風邪と異なり長く続きます。病状が進行すると、血痰、胸痛が出現したり、寝汗、全身倦怠感、体重減少、食欲低下などが認められることもあります。これらの症状が2週間以上続く場合、医療機関を受診するようにしましょう。

 

結核の感染と発病

結核患者さんが、体の外に菌を出すことを「排菌」といいます。すべての結核患者さんが排菌しているわけではないのですが、排菌している患者さんがする“咳”や“くしゃみ”によって飛び散ったしぶきの中に含まれる結核菌を吸い込むことで感染します。これを「空気感染」といいます。しかし結核菌を吸い込んでも、鼻や気管支の線毛の働きによって体外に排出されれば感染はしません。

結核菌に感染しても(=体内に入った状態)、必ずしも結核を発病(=菌が体内で増殖して組織を壊す)するとは限りません。100人感染しても発病するのは10人くらいです。90人くらいの人は、免疫力によって菌を封じ込めてしまい、一生発病しません。発病する10人のうち大半の6~7人は感染後2年以内に発病し、残りの3~4人は長期間菌を体内で封じ込めたのちに、体の免疫力が低下した際などに発病します。

 

結核の検査と診断

結核に感染したかどうかは「ツベルクリン反応検査」や「インターフェロンガンマ遊離試験(IGRA)」などによって診断します。ツベルクリン反応検査は、ツベルクリン液を皮内に注射し、48時間後に皮膚反応(発赤程度など)を判定します。結核菌に感染した場合や、BCG接種を受けた方は、皮膚が赤く腫れてきます。インターフェロンガンマ遊離試験(IGRA)は、血液検査で結核感染の有無を調べます。日本では、ほとんどの方がBCG接種を受けているので、BCG接種の影響が出てしまうツベルクリン反応検査よりもIGRAの方が感染の診断においては有用とされています。
結核を発病したかどうかは、画像検査(レントゲン検査やCT検査)や培養検査などで診断します。
結核は全身の臓器に感染する可能性がありますが、90%は肺に感染し、その場合肺結核と言われます。肺結核の場合、胸部レントゲン検査をまず行い、疑わしい陰影が認められれば胸部CT検査を行います。画像診断で結核が疑われれば、喀痰や胃液を採取し、塗抹検査・培養検査・遺伝子検査などを組み合わせて、結核菌を証明し診断します。

 

結核の治療方法

現在は、3~4種類の抗結核薬を、6~9か月間内服し続けます。治療に多種類の抗結核薬を長期間使用するので、副作用が現れることもありますが、副作用が出たからといって自己判断で勝手に中断せず、必ず医師に相談することが大切です。治療途中で服薬を中断してしまったり、指示通りに内服しなかったりすると、薬の効かない菌(耐性菌)が出現する可能性があります。昔は多くの方が亡くなっていた結核も、適切な治療を、治療終了まできちんと継続できれば、大半の方が治るようになってきています。
また医療負担を軽減するため、結核治療費を公費で負担する制度もあります。

 

結核の日常生活における注意点

結核は診断が遅れることで重症化してしまうこともあり、また周囲の人に感染を広げてしまう危険性もあります。健康診断を定期的に受け、2週間以上続く、長引く咳の場合には医療機関を受診するようにしましょう。また社会的マナーとして、咳をする場合には口元をハンカチなどで押さえたり、マスクを着用したり、咳エチケットを心がけましょう。

同居家族や親しい人など、頻回に接触する方が結核を発病された場合は、同じように感染している可能性がありますので、感染の有無を調べる必要があります。特に糖尿病の方、透析を受けている方、ステロイド剤や免疫抑制薬を服用している方などは発病しやすいと言われており、注意が必要です。

普段より、好き嫌いせずにバランスの良い食事とり、適度な運動をし、十分な睡眠時間をとり、ストレスをため込まず、発病リスクを高めるタバコを吸わないなど、日頃から心がけるようにしましょう。