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黄砂で喘息が悪化する理由と5つの対策|神戸市東灘区の呼吸器・総合内科専門医が解説
診察室で感じる「春の呼吸器トラブル」
こんにちは。神戸市東灘区、阪神御影駅から徒歩1分にある「谷尻医院」です。 当院は1948年(昭和23年)の開院以来、地域の皆さまの「かかりつけ医」として歩んでまいりました。現在は「呼吸器専門医」「アレルギー専門医」「総合内科専門医」の資格を持つ医師が、長引く咳や喘息などの専門的な診療を行っています。
春から初夏へと移り変わるこの季節、爽やかな風が心地よい一方で、当院の診察室には「なんだか喉がイガイガする」「風邪かどうかわからないけど、急に咳き込むようになった」「花粉症が一段落したと思ったら急にひどくなった」という方が多くお見えになります。実は私も花粉症で毎年3月は憂鬱な時期なのですが、4月、5月は花粉症から解放され一息つく時期なのです。ところが先日、急に鼻水と眼のかゆみとせきがでて大変な思いをしました。一体何があったのでしょう?
実はこの時期、私たちの呼吸を密かに脅かしているのは、遠く大陸から飛んでくる「黄砂」なのです。みなさん、黄砂を「ただの砂」だと侮ってはいけません。喘息(ぜんそく)をお持ちの方はもちろん、これまで呼吸器の病気や花粉症がなかった方にとっても、黄砂には注意が必要です。今回は、専門医の視点から黄砂が体に与える影響と、今日からすぐにできる対策を丁寧にお伝えします。
なぜ「黄砂」の時期に喘息が悪化するのか?
空がうっすらと黄色く霞む黄砂の正体は、東アジアの内陸部の砂漠を含む乾燥地域の砂塵が、強風によって上空に巻き上げられ風に乗って運ばれてくる微細な砂の粒子です。しかし、問題はその「中身」です。
黄砂は数千キロの旅をして日本にやってくる間に、PM2.5などの大気汚染物質やカビ・細菌などの微生物、さらにはこの時期の花粉までを砂の粒子の中に、まるで磁石のように吸い込みます。それらがひと塊となって私たちの喉や肺に飛び込んでくるのです。いわば、黄砂は「運び屋」としての顔も持っているのです。
喘息(ぜんそく)をお持ちの方は、健康な方に比べて、気道(空気の通り道)がとても敏感なのです。そこに、様々な物質をたっぷり含んだ黄砂が入り込むと、敏感な気道の粘膜を直接チクチクと刺激し過剰に反応し、気道がギュッと狭くなってしまいます。これが、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった息の苦しさや、激しい咳が増える理由です。
自宅でできる5つのセルフケア
「飛んでくるものは防ぎようがない」と諦める必要はありません。日常生活の中のちょっとした工夫で、肺や喉への負担をぐんと減らすことができます。以下の5つのセルフケアを行ってみましょう。
①「隙間」を作らない様にマスク着用をしましょう
黄砂の粒子は、スギ花粉よりもさらに小さいものが含まれています。普通のマスクでも効果はありますが、大切なのは「密着度」です。
- ノーズワイヤーを鼻の形にしっかり合わせる
- 頬や顎の横に隙間を作らない
②玄関に入る前のひと払いと早めの「洗顔・うがい・シャワー」を心がけましょう
帰宅した際は、玄関に入る前に衣服を軽く払ってください。また、黄砂は髪や肌にびっしり付着します。帰宅後は早めに「洗顔」「うがい」「シャワー」を浴びて、肌や髪についた「刺激物質」を洗い流しましょう。お部屋の中に黄砂を持ち込まない、これだけでも予防の手助けになります。
③お洗濯は「部屋干し」を心がけましょう
お天気が良いと外に洗濯物を干したくなりますが、黄砂の予報が出ている日は避けましょう。外干ししたタオルや衣類には、目に見えない黄砂がびっしりと付着します。そのタオルで顔を拭いたり、黄砂がついたパジャマで寝たりすることは、一晩中原因物質を吸い込み続けているようなものです。「部屋干し」や「乾燥機」などを上手に活用し、予防に努めましょう。
④こまめな「水分補給」をしましょう
私たちの喉には、入ってきた異物(ウイルスや細菌、花粉など)を外に追い出す「線毛(せんもう)」というものが備わっています。しかし、喉が乾燥していると、この線毛がうまく働かなくなるといわれており、喉の潤いを保つことでこの機能を正常に保ち黄砂の刺激から粘膜を守るバリアが強化されます。水分は一度にたくさん飲む必要はありません。一口、二口の水分をこまめにとっていただければ結構です。
⑤喘息の定期薬は毎日欠かさず継続しましょう
喘息の方は、症状がないときでも医師から処方されている吸入薬や内服薬を継続して使用して下さい。定期薬を継続使用することにより気道の炎症がしっかり抑えられるため、黄砂が飛来したときに気道が過敏に反応しにくくなり喘息の悪化を未然に防ぐことができます。それでも症状が悪化した場合は、当院へお越し下さい。状況に合わせた薬の調整を行わせていただきます。
まとめ
- 外出時は隙間を作らない様にマスクを着用して、体内に黄砂の侵入を防ぐ。
- 帰宅時には衣服を払い、早めの「洗顔・うがい・シャワー」を。
- 洗濯物は「部屋干し」を徹底し、衣類や寝具に黄砂を付着させない。
- こまめな水分補給で喉の粘膜を潤し、異物を追い出す機能を助ける。
- 喘息のお薬(吸入薬など)は欠かさず継続し、喘息の悪化を未然に防ぐ。
喘息や花粉症をお持ちの方は黄砂の時期は症状が悪化することも多いです。このブログが症状悪化予防の一助となり、少しでもみなさんのお役に立てればと思います。神戸市東灘区の御影にある谷尻医院では、呼吸器専門医、アレルギー専門医、総合内科専門医が在籍しており、患者様一人ひとりの症状に寄り添った丁寧な診療を心がけています。長引く咳、喘息や花粉症の悪化でお悩みの方はぜひ一度、谷尻医院へご相談下さい。
