感染症

感染症について

感染症は、病原体が体内へ入り込み増えてしまうことで発症します。感染源としては、人や動物、汚染された食品などがあり、それらからさまざまな経路をたどって広がるしくみです。主な感染経路には、空気感染、飛沫感染、接触感染、経口感染の4種類が挙げられます。病原体の特徴によって、どの経路が主になりやすいかが異なります。
【空気感染】結核、麻疹、水痘
【飛沫感染】インフルエンザウイルス、新型コロナ、ウイルス、マイコプラズマ、百日咳、風疹など
【接触感染】ノロウイルスやロタウイルスなどの感染性胃腸炎、流行性角結膜炎、疥癬など
【経口感染】ノロウイルス、サルモネラ、カンピロバクターなど

マイコプラズマ感染症

肺炎マイコプラズマという細菌によって引き起こされ、咳や発熱を誘発する呼吸器感染症です。幼稚園や学童保育で集団発生する場面も見られ、家庭内でも感染者の咳やくしゃみを吸い込んでうつる可能性があります。若年者に起こりやすく、60歳以上に方の発症は少ない傾向にあります。以前は、4年に一度、オリンピックの年に流行がみられましたが、最近はその傾向はなくなってきております。ほとんどの場合は軽症で、自然に治る頃が多いですが、まれに重症化することがあります。持続する激しい咳や高熱があるときは、早めに診察を受けて肺炎などへ進展しないよう気をつけなければなりません。

マイコプラズマ感染症の症状

潜伏期はおよそ2~3週間とされております。一般的には熱や全身のだるさ、頭痛が先に始まり、続いて咳が目立ってきます。初めは乾いた咳が中心ですが、しばらくして痰のからむ咳へ移行する場合もあり、熱が下がっても咳が長引くことがあります。肺炎を引き起こすことがよく知られておりますが、そのほかに中耳炎や胸膜炎、髄膜炎などを併発してくるとの報告もあります。

マイコプラズマ感染症の原因

感染した人の咳やくしゃみなどに含まれる細菌を吸い込んだり、接触したりすることにより感染するとされております。体内に付着した細菌の多くは咳や痰と一緒に外へ追い出せるのですが、防御が十分でなければ気管支炎や肺炎を引き起こす可能性があります。

マイコプラズマ感染症の検査と診断

問診や身体所見を踏まえ、マイコプラズマ感染症を疑う場合は以下のような検査を行います。

  • 画像検査

    胸部レントゲンやCT検査などで肺の様子を確認します。そしてマイコプラズマ感染症による肺炎の場合、淡い影など特徴のある影が映し出されます。他の検査結果と組み合わせ、マイコプラズマ肺炎の診断をおこないます。

  • 血液検査

    マイコプラズマに特異的な抗体を測定するとともに、感染症による炎症の程度を確認するためにCRPや白血球数を測定します。抗体価が一定の基準以上に上昇している場合はマイコプラズマ感染症と考え、CRP値をみながら感染に伴う炎症の程度と状態を確認していきます。

  • 迅速検査

    綿棒で喉の奥を拭って採取した検体を用い、マイコプラズマの存在を調べます。発症初期でも検出できて、迅速な診断が可能なので、早めに治療の方向性を決める際に役立つ検査です。

マイコプラズマ感染症の治療方法

マイコプラズマ感染症の治療にはマクロライド系抗菌薬やテトラサイクリン系抗菌薬、ニューキノロン系抗菌薬など、有効性が確認された薬を処方し、治療を行っていきます。また、マイコプラズマ感染症による肺炎などで呼吸状態が悪化して酸素が不足している方には、酸素療法や必要に応じて入院治療も検討します。咳が長引いたり、重症化することもありますので、症状が軽くても自己判断で薬をやめず、医師の指示通りの日数をきちんと服用することが早期改善への近道です。

RSウィルス感染症

RSウイルスは、一般的には乳幼児の呼吸器感染症の原因ウイルスであり、2歳までにほぼすべての乳幼児が感染すると言われております。生涯にわたり何度も感染と発症を繰り返し、成人も感染します。高齢者や基礎疾患のある成人に感染した場合、肺炎などを引き起こすことがあり、RSウイルス感染症により高齢者が入院したり、死亡に至ったりすることも報告されております。
RSウイルス感染症の流行時期は、夏から増え始めて秋にピークとなる事が多かったですが、2021年以降は春から増加がみられ、夏にピークを認めるようになってきておりまます。

RSウィルス感染症の症状

成人では、発熱、鼻汁や咳などの軽い風邪様症状が主な症状ですが、慢性呼吸器疾患や心臓疾患などの基礎疾患をお持ちの方やご高齢の方は重い肺炎を起こされることもあります。潜伏期間は4~6日で、発症後、多くの方は数日で回復します。一部の方は、喘鳴・呼吸困難といった下気道症状が現れ、肺炎を起こす方もいらっしゃいます。

RSウィルス感染症の原因

RSウイルスというウイルス感染であり、主な感染経路は飛沫感染(くしゃみや咳によりウイルスを含むしぶきが放出され、それを吸い込むことで感染)と、接触感染(ウイルスの付着した手が鼻や目に触れることで感染)であります。

RSウィルス感染症の検査と診断

乳幼児に対しては迅速抗原キットを用いて診断を行うことがありますが、成人に対しては保険適応がなく、成人の診療現場において検査をして確定診断を下すことは、よほどのことがなければありません。

RSウィルス感染症の治療方法

成人において、RSウイルス感染症に対する特定の抗ウイルス薬はありません。そのため、症状を和らげるための対症療法を行ってまいります。
軽症の方の場合、解熱鎮痛薬や鎮咳剤を用いながら、安静と水分補給で経過観察を行います。重症の方の場合、必要に応じて入院治療を行い、酸素投与や人工呼吸器治療が必要になる場合もあります。インフルエンザの場合と比較して、RSウイルス感染症の場合、入院期間が長くなる傾向があります。

RSウィルス感染症の予防方法

基本的な感染予防対策は、手洗いや手指消毒の徹底と室内換気です。
接触感染対策として、手洗いやアルコールによる手指消毒することと、手すりやドアノブなどの人がよく触れる場所をアルコールなどで消毒を行い、家族間であってもタオルの共有は避けるましょう。飛沫感染対策としては、こまめな室内換気が大切です。
重症化の危険がある高齢者や、基礎疾患(慢性閉塞性肺疾患・気管支喘息などの慢性呼吸器疾患、糖尿病、慢性心疾患など)を有する方にとっては、ワクチンによる予防が重要になります。

ワクチンについて

帯状疱疹

帯状疱疹は、ヘルペスウイルスの一種である、水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスというよって引き起こされる感染症です。
初めて水痘・帯状疱疹ウイルスに感染すると、水痘(水ぼうそう)を発症します。水痘はほとんどの場合、子どもの頃に発症し1週間程度で治っていきます。水痘治癒後もウイルスは体内の神経節に潜伏しています。その後、過労・ストレスや加齢などにより免疫機能が低下すると、神経節に潜伏していたウイルスが再び目覚め、増殖し、知覚神経を通って皮膚表皮に達し、痛みを伴った赤い丘疹や水疱を生じます。これが帯状疱疹です。水痘にかかったことがある人は帯状疱疹を発症する可能性があります。他の人から感染して帯状疱疹になるわけではありません。帯状疱疹は、通常は生涯に一度しか発症しませんが、免疫が低下している場合には再発することもあります。

帯状疱疹の症状

通常、体の左右どちらかの神経に沿って帯状に出現します。全身に出現する可能性がありますが、上肢~胸背部が約30%、腹背部が約20%との報告があります。顔面に起きることもあり、目の周囲に出ると角膜炎や結膜炎を引き起こしたり、耳に出ると難聴、めまいや顔面神経麻痺を引き起こしたりすることがあります。一般に、体の左右どちらか一方に、数日~1週間ほど「ピリピリする」「ズキズキする」「焼けるような」感じの神経痛のような痛みを認め、その後、帯状に赤い発疹が出現します。赤い発疹に続き、中央部がくぼんだ小水疱(すいほう/水ぶくれ)が出現し、発疹出現後1週間は新しい発疹や水疱が増えていきます。水疱は初めは透明ですが、やがて黄色い膿疱となっていきます。発疹出現後、約1週間で破れ、約2週間でかさぶたとなり、約3週間でかさぶたが落ちて治癒していきます。
帯状疱疹の発疹が治った後でも、ウイルスによって神経が損傷されることにより、神経性の痛み(「電気が走るような」「焼けるような」「刺すような」痛み)だけが長い間残ることがあります。これを「帯状疱疹後神経痛」と呼び、高齢の方や、帯状疱疹が重症であった方に起こりやすいといわれています。

帯状疱疹の原因

帯状疱疹の原因は、水ぼうそうと同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」で、90%以上の日本成人の体内神経節にこのウイルスが潜んでいます。帯状疱疹は、50歳代から発症率が高くなり、80歳までに約3人に1人が発症すると言われております。水ぼうそうに対する免疫が弱まってきたタイミングで、過労・ストレスや加齢などによる免疫機能の低下とが重なることで、ウイルスが再度活性化して発症すると考えられます。

帯状疱疹の治療方法

治療は、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬と、痛みに対する鎮痛剤が中心となります。抗ウイルス薬により、急性期の皮膚症状や痛みを緩和し、合併症や後遺症を軽減します。帯状疱疹後神経痛などの合併症を起こさないためにも、できるだけ早期の治療開始が重要です。
全身に水疱が出現したり、高熱を伴ったりと症状が重い場合や、免疫能が低下している場合は、点滴による治療が必要なことがありますので、入院設備のある皮膚科を受診してください。
帯状疱疹後神経痛を認めた場合には、主には内服薬による治療を行ないますが、痛みが激しい場合(痛みで夜も寝れないこともあります)には、ペインクリニックなどで神経ブロック注射を行なうこともあります。

帯状疱疹の予防方法

帯状疱疹の発症リスクや、帯状疱疹後神経痛が残るリスクは、年齢が上がるにつれて高まると考えられています。そのため年齢を重ねる前から、暴飲暴食を避けてバランスの良い食事をしたり、適度な運動をしたり、十分な睡眠を心がけるなど、出来るだけ健康的な生活習慣を保つことが大切です。
また、50歳以上の方は、帯状疱疹の予防接種を受けることができます。予防接種は帯状疱疹を完全に防ぐものではありませんが、万一発症しても症状が軽くて済む可能性があり、帯状疱疹を発症予防、重症化予防に有効と言われております。 予防接種に関しては、接種ができない人、あるいは注意を必要とする人もいますので、接種にあたっては当院までご相談ください。

ワクチンについて

結核

結核菌が体内に入り込むことで起こってくる感染症です。昭和20年代まで「国民病」とされて恐れられ、日本人における死亡原因の1位でした。当時年間10万人以上の方が、結核が原因で亡くなっていました。その後、生活水準の向上や治療薬の出現により、死亡者数は徐々に減少してきております。本邦は2021年にようやく、低まん延国となりましたが、それでも、2021年には11,519人の方が新たに結核と診断されております。このように結核はまだ過去の病気ではないのが現状であります。

結核の症状

初期症状は咳、痰、微熱などで、風邪と似ていますが、風邪と異なり長く続きます。病状が進行すると、血痰、胸痛が出現したり、寝汗、全身倦怠感、体重減少、食欲低下などが認められることもあります。これらの症状が2週間以上続く場合、医療機関を受診するようにしましょう。

結核の感染と発病

結核患者さんが、体の外に菌を出すことを「排菌」といいます。すべての結核患者さんが排菌しているわけではないのですが、排菌している患者さんがする“咳”や“くしゃみ”によって飛び散ったしぶきの中に含まれる結核菌を吸い込むことで感染します。これを「空気感染」といいます。しかし結核菌を吸い込んでも、鼻や気管支の線毛の働きによって体外に排出されれば感染はしません。

結核菌に感染しても(=体内に入った状態)、必ずしも結核を発病(=菌が体内で増殖して組織を壊す)するとは限りません。100人感染しても発病するのは10人くらいです。90人くらいの人は、免疫力によって菌を封じ込めてしまい、一生発病しません。発病する10人のうち大半の6~7人は感染後2年以内に発病し、残りの3~4人は長期間菌を体内で封じ込めたのちに、体の免疫力が低下した際などに発病します。

結核の治療方法

現在は、3~4種類の抗結核薬を、6~9か月間内服し続けます。治療に多種類の抗結核薬を長期間使用するので、副作用が現れることもありますが、副作用が出たからといって自己判断で勝手に中断せず、必ず医師に相談することが大切です。

継続した治療が重要です

治療途中で服薬を中断してしまったり、指示通りに内服しなかったりすると、薬の効かない菌(耐性菌)が出現する可能性があります。昔は多くの方が亡くなっていた結核も、適切な治療を、治療終了まできちんと継続できれば、大半の方が治るようになってきています。
また医療負担を軽減するため、結核治療費を公費で負担する制度もあります。

結核の日常生活における注意点

結核は診断が遅れることで重症化してしまうこともあり、また周囲の人に感染を広げてしまう危険性もあります。健康診断を定期的に受け、2週間以上続く、長引く咳の場合には医療機関を受診するようにしましょう。また社会的マナーとして、咳をする場合には口元をハンカチなどで押さえたり、マスクを着用したり、咳エチケットを心がけましょう。

同居家族や親しい人など、頻回に接触する方が結核を発病された場合は、同じように感染している可能性がありますので、感染の有無を調べる必要があります。特に糖尿病の方、透析を受けている方、ステロイド剤や免疫抑制薬を服用している方などは発病しやすいと言われており、注意が必要です。

普段より、好き嫌いせずにバランスの良い食事とり、適度な運動をし、十分な睡眠時間をとり、ストレスをため込まず、発病リスクを高めるタバコを吸わないなど、日頃から心がけるようにしましょう。

非結核性抗酸菌症

抗酸菌とは一般細菌と異なり、染色されにくいが、一旦染色されると酸性アルコールによる脱色素剤に抵抗性を示す、酸に抵抗する菌のことをさします。抗酸菌属には、結核菌、らい菌や非結核性抗酸菌などがあります。非結核性抗酸菌によって起こった感染症が非結核性抗酸菌症です。
非結核性抗酸菌は、現在100菌種以上が発見されていますが、人に病気を起こすのは15菌種程度です。そのうちアビウム、イントラセルラーレの2菌種 が全体の7~8割を占めています。この2菌種を合わせてMAC(マック)と呼びます。次いで、カンサシーという菌が2割弱を占め、その他の珍しい菌種が1割弱で認められます。
結核菌は人に寄生する細菌(結核菌は体外では生存できない)で、人から人に感染しますが、非結核性抗酸菌はもともと塵埃、土壌、水など人間の身近な環境に生息しています。こうした環境中の粉塵や、水しぶきなどと一緒に菌を吸い込むことにより感染します。誰にでも感染の可能性はありますが、人から人に感染することはありませんので結核のように隔離入院をすることはありません。また、非結核性抗酸菌症が進行して結核になることもありません。

非結核性抗酸菌症の症状

最初は自覚症状のないことが多いのですが、進行すると咳、痰、血痰、微熱などを認めるようになります(非結核性抗酸菌症だけにみられる特有の症状はありません)。他に、倦怠感、寝汗、体重減少、息切れ、胸痛などが見られることもあります。重症化し呼吸不全に至る場合もありますが、通常、症状の進行は緩やかでゆっくりしており、徐々に進行していきます。なかには無治療でもほとんど進行しないものもあります。

非結核性抗酸菌症の原因

体内に菌が入ってうつること(感染)と、実際に病気になる(発病)は別に考える必要があります。結核の場合、実際に発病するのは感染を受けた人のうちの1割程度と言われております。非結核性抗酸菌は結核菌よりも病原性が弱いため、ほとんどの人はたとえ感染しても発病しません。
しかし、肺にもともと病気を持っている人(肺結核後遺症、じん肺、肺気腫、間質性肺炎、気管支拡張症、肺嚢胞、サルコイドーシスなど)や、体の抵抗力の弱い人(エイズ患者、白血病患者、リウマチや臓器移植などで免疫抑制剤使用中のひと、手術後などで体力が落ちた人など)は、発病の危険性が高いと考えられます。
また最近では、原因は分かっていませんが、健康な中高年、特に女性に感染者が増えてきております。神経質な人やストレスを受けやすい人に多いようです。

非結核性抗酸菌症の検査と診断

レントゲンやCTなどの画像検査と、喀痰検査が必要になります。画像検査で非結核性抗酸菌症を疑う所見を認め、かつ喀痰から菌が検出される(喀痰培養検査、遺伝子検査などをおこないます)ことにより診断に至ります。菌の発育は遅いので培養検査の結果が出るのに6-8週間要することもあります。

非結核性抗酸菌はもともと自然界に存在するので、痰の中に偶然入ってしまうこともあり、診断には複数回の菌検出(喀痰検査など)が必要になります。
結核、肺の真菌症、肺癌、肺炎などとの鑑別が重要であり、喀痰が出ない場合、菌を証明するために気管支鏡検査を行ない詳しく調べることもあります。

非結核性抗酸菌症の治療方法

治療には複数の抗結核薬を用いた化学療法が行われますが、確実に治癒できる治療法はいまだに確立されておりません。

MAC症の場合

我が国に多いMAC症の場合、クラリスロマイシン(CAM)、リファンピシン(RFP)、エタンブトール(EB)といった薬剤を併用するのが一般的であります。場合によってはストレプトマイシン(SM)を筋肉注射することもあります。病原性は結核菌より弱い菌ですが、治療効果が得られるのは約半数とも言われております。また治療期間も1~2年程度要します。人によっては菌が陰性化せずに、長期間にわたり内服し続けることもあります。若い患者さんで初期に発見されれば、外科的手術で病巣部分を切除することが最も効果的である場合もあります。しかし、複数個所に病巣があったり、病巣が広かったりする場合や、高齢の患者さんには手術はあまり勧められません。副作用には、アレルギー反応(発疹、発熱など)、肝臓障害、腎臓障害、血小板減少、白血球減少などがあり、定期的な受診と採血検査が必要になります。その他に視神経障害、平衡感覚異常や聴力低下といった聴神経障害をきたすこともあります。 

年単位で少しずつ進行してゆく例が多いのですが、一般的に進行は緩徐で、日常生活に支障がない例も多く、何年もレントゲン所見が変化しない例もあります。治療開始時期や治療期間も定まった基準もないことや、治療効果も確実ではなく、副作用の出る可能性もありますので、病状によっては治療せずに経過観察する場合もあります。自覚症状が強いか、進行が速い例で、治療を開始することになります。

カンサシー症の場合

カンサシー症の場合、リファンピシン(RFP)、イソニアジド(INH)、エタンブトール(EB)といった薬剤を併用いたします。カンサシーは比較的治療効果が期待できるために、状況が許せば加療を試みます。

非結核性抗酸菌症の日常生活における注意点

非結核性抗酸菌症は、日和見(ひよりみ)感染症の一つとも考えられております。日和見感染症とは、健康な人では感染症を起こさないような弱い病原体が原因で発症する感染症です。身体の抵抗力や免疫力が低下し、病原菌の増殖を抑えられなくなると病気が進行してしまいます。したがって身体の抵抗力や免疫力を増強するために、規則正しい生活とストレスからの解放、心身のリフレッシュが重要になってきます。

  • 早寝・早起きを心がけ、十分な睡眠時間を確保するように心がける。
  • 過労を避け、疲れた場合には十分な安静をとるように心がける。
  • 過食や偏食は避け、栄養バランスのとれた食事を心がける。
  • ストレスをため込まないように、適度な運動を心がける。

非結核性抗酸菌はヒトからヒトへの感染はないので、家族への伝染の心配はなく、家族や周囲のヒトへの特別な配慮は必要ありませんが、自宅内で菌のすみつきやすい場所(風呂場、シャワーヘッドなど)を定期的に掃除し、清潔に保つように心がけてください。
自覚症状がなくても定期的な通院が必要です。経過観察中でも3ヶ月から半年に一度は受診するようにしましょう。治療が開始されたら、治療を成功させるために、薬を指示通りに確実に内服することが重要です。