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痩せ型・女性にも多いSAS(睡眠時無呼吸症候群)の真実|神戸市東灘区・御影の呼吸器専門医が解説
「太った男性の病気」という誤解
こんにちは。神戸市東灘区、阪神御影駅から徒歩1分の場所にあります「谷尻医院」です。当院はこの御影の地で、昭和23年の開院以来70年以上にわたり、親子3代で地域の皆さまの健康を見守り続けてまいりました。現在は「呼吸器専門医」と「総合内科専門医」の資格を持つ医師が2名常勤し、風邪などの身近な不調から、長引く咳、喘息、そして今回のテーマである「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」まで、専門的な診療を幅広く行っております。
診察室で睡眠時無呼吸症候群のお話をすると、患者様からよくこのような質問をいただきます。
- 「無呼吸症候群って、太った男の人がなる病気ですよね。私は痩せているし、女性だから関係ないですよね?」
実は、この「睡眠時無呼吸症候群=肥満の男性」というイメージこそが、日本において病気の発見を遅らせている大きな要因の一つです。今回は、専門医の立場から、女性や痩せ型の日本人における睡眠時無呼吸症候群の真実と、その対策について詳しく解説していきます。
日本人は「小顔」ゆえに無呼吸になりやすい?体型の盲点
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりを繰り返す病気です。一般的に肥満が最大のリスク因子であることは間違いありませんが、日本人は欧米人に比べてBMI(肥満指数)が低い、つまり痩せ型が多いにもかかわらず、睡眠時無呼吸症候群の有病率は欧米諸国と並んで高いことが報告されています。
なぜ、太っていなくても無呼吸になるのでしょうか?
その最大の理由は、日本人の「顎(あご)の骨格」にあります。日本人は欧米人に比べて顎が小さく、後ろに下がっているという骨格上の特徴(小顎症など)を持っています。そのため、体型はスリムであっても、寝ている間に舌の根元が喉の奥に落ち込みやすく、物理的に気道が狭くなって無呼吸を引き起こしてしまうのです。
口腔内が狭い方は要注意
日々の診察でも、風邪などの際に喉を拝見すると、「口腔内(口の中)が非常に狭い」患者様がおられます。喉の奥が舌や扁桃で塞がりやすい形をしている方は、たとえ痩せておられても睡眠時無呼吸症候群のリスクが高くなります。骨格的なリスクもあるのです。

女性の睡眠時無呼吸症候群――更年期以降の急増に注意
「女性は無呼吸になりにくい」というのも、大きな誤解です。確かに現役世代では男性に多い疾患ですが、女性は年齢とともに変化する特有のリスクがあります。
閉経後のリスク上昇
女性ホルモン(プロゲステロンなど)には、呼吸を促進し、上気道を広げる筋肉を維持する働きがあります。しかし、更年期を境に女性ホルモンが減少すると、気道が塞がりやすくなり、睡眠時無呼吸症候群の発症率が急上昇します。統計では、閉経後の女性の約10%に中等症以上の睡眠呼吸障害がみられると報告されており、これは閉経前に比べて明らかに高い数値です。
男性とは違う「気づきにくい」症状
女性の場合、男性のような激しいいびきをかかないことも多く、以下のような睡眠時無呼吸症候群とは無関係に見える症状でお悩みの方が目立ちます。
- 「なんとなく毎日がだるい、寝ても疲れが取れない」
- 「朝起きたときに頭痛や頭の重さ(頭重感)がある」
- 「夜中に何度も目が覚める、寝つきが悪い(不眠症状)」
- 「夜間に何度もトイレに起きる(頻尿)」
これらは「更年期障害のせい」「年齢のせい」と思い込んで見過ごされがちですが、実は「睡眠中の酸素不足」が原因である可能性があります。

「長引く咳」が無呼吸の隠れたサインであることも
当院が力を入れている「咳」の診療においても、睡眠時無呼吸症候群との深い関連が明らかになっております。
なぜ無呼吸だと咳が出るのでしょうか?
その理由の一つは、呼吸が止まることで胸の中の圧力が激しく変化し、胃酸が逆流しやすくなる「胃食道逆流症(GERD)」を引き起こすためです。また、無呼吸のたびに気道に強い負担がかかって炎症が起き、咳の受容体が過敏になることで、ちょっとした刺激でも咳が出やすくなってしまいます。
痩せ型・口腔内が狭い人のための治療法
痩せ型で骨格的に口腔内が狭い(顎が小さい、喉の奥が狭いなど)ことが原因の場合、肥満解消のための「減量」は治療の主眼にはなりません。物理的に気道のスペースを確保する治療が必要となります。
治療法の種類
CPAP療法
(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)
もっとも標準的で効果の高い治療法です。睡眠中に鼻マスクから適度な圧力をかけた空気を送り込み、気道を物理的に押し広げて閉塞を防ぎます。日中の眠気やだるさを劇的に改善するだけでなく、将来の心血管疾患リスクを軽減します。
口腔内装置(OA:マウスピース)
軽症〜中等症の方に有効な選択肢です。就寝時に専用のマウスピースを装着し、下顎を少し前方に固定することで、舌が喉の奥に落ち込むのを防ぎます。痩せ型で顎が小さい方には非常に相性の良い治療法です。

外科的手術
(扁桃摘出術、顎顔面形成術など)
扁桃肥大が明らかな場合や、骨格的な問題が非常に強い場合に、気道を広げる手術を検討することがあります。
舌下神経電気刺激療法
近年保険適用となった治療法で、鎖骨下に埋め込んだ装置から舌の神経を刺激し、睡眠中に舌を前方へ移動させて気道を確保します。CPAPがどうしても続けられない等の特定の条件を満たす方が対象です。
体位療法(横向き寝)
仰向けで寝ると重力で舌が喉の奥の方に落ち込みやすくなるため、側臥位(横向き)で寝る習慣をつけることで、無呼吸の回数を軽減させる補助的な方法です。
谷尻医院での検査と安心のサポート
「もしかして私も無呼吸かも?」と思われた方も、どうぞご安心ください。現在、睡眠時無呼吸症候群の検査は非常に手軽に行えます。
自宅でできる「簡易睡眠検査」
当院では、ご自宅で指先に小さなセンサーと、鼻に細いチューブをつけて寝るだけの「簡易睡眠検査」に対応しています。普段通りの寝室環境でリラックスして受けていただけるため、精神的な負担もありません。

一人ひとりの原因に合わせた個別アプローチ
検査結果に基づき、呼吸器専門医としての知見を活かして、CPAP治療の導入や、提携歯科医院との連携によるマウスピース作成など、患者様の体型やライフスタイルに合わせた最適な治療法をご提案いたします。
小さな違和感こそ、私たちに教えてください
睡眠は、人生の3分の1を占める大切な時間です。その時間が「呼吸が止まる苦しい時間」になってしまっているのは、日中のパフォーマンスを下げるだけでなく、自律神経の乱れを引き起こして、将来の高血圧や心疾患、糖尿病などを発症するリスクを高めます。
- 「太っていないから自分は大丈夫」
- 「女性だからいびきの相談は恥ずかしい」
そんなふうに思わず、まずは気軽にご相談ください。
谷尻医院は、阪神御影駅から徒歩1分という通いやすい場所にございます。70年以上にわたって地域に根差してきた「話しやすさ」と、呼吸器・内科の両方の専門知識をもって、皆さまお一人おひとりの不安に寄り添ってまいります。「最近疲れやすい」「夜中にトイレで目が覚める」といった病気未満のちょっとした違和感から、どうぞ安心してお聞かせください。
