肺炎球菌ワクチンの定期接種制度が変わりました|神戸市東灘区・御影の呼吸器専門医が解説

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肺炎球菌ワクチンの定期接種制度が変わりました|神戸市東灘区・御影の呼吸器専門医が解説

はじめに:診察室で耳にする「肺炎の怖さ」

こんにちは。神戸市東灘区、阪神御影駅から徒歩1分にある「谷尻医院」です。当院はこの御影の地で、昭和23年の開院以来70年以上にわたり、親子3代で地域の皆さまの健康を見守り続けてまいりました。現在は、私を含め「呼吸器専門医」と「総合内科専門医」のダブルライセンスを持つ医師が2名在籍し、風邪や長引く咳から、肺炎の予防・治療まで幅広く診療を行っています。

最近、診察室で患者様からこのようなお声をよく伺います。

  • 「肺炎って、かかると本当にしんどいのね…」
  • 「ニュースでワクチンの制度が変わったって聞いたけれど、私はいつ打てばいいの?」

実は、2026年(令和8年)1月に開催された「東灘区在宅医療塾」で肺炎対策について、医療・介護・福祉従事者に対して講演をさせていただいた際にも、会場の皆さまから肺炎球菌ワクチンに関するご質問をたくさんいただきました。

肺炎は、決して他人事ではありません。今回は、2026年4月から新しくなった肺炎球菌ワクチンの定期接種制度を中心に、専門医の視点から分かりやすく解説します。

なぜ「肺炎」を甘く見てはいけないのか?

日本人の死因の上位、そして「生活の質」を奪う病気

肺炎は、日本人の死因において常に上位に位置する重大な病気です。特に高齢の方や、糖尿病、心臓病、そして私たちが専門とするCOPD(慢性閉塞性肺疾患)や喘息などの持病がある方は、肺炎にかかると重症化しやすいリスクがあります。

実際に肺炎を経験された患者様は、「息ができなくて本当に苦しかった」「もう二度とあんな思いはしたくない」とおっしゃいます。肺炎の恐ろしいところは、命に関わるだけでなく、一度かかると入院を余儀なくされ、それをきっかけに足腰の筋力が一気に衰えたり、認知機能が低下したりして、元の元気な生活に戻ることが難しくなる点にあります。

「予防できる肺炎」があるという希望

肺炎の原因はさまざまですが、その中でも最も頻度が高く、かつ重症化しやすいのが「肺炎球菌」という細菌です。幸いなことに、この肺炎球菌による肺炎は、ワクチンによって予防したり、もし罹患しても軽くさせることが可能になっています。

知っておきたい「肺炎球菌」とワクチンの仕組み|90種類以上ある原因菌にどう備える?

肺炎球菌は「90種類以上」もの大家族!?

実は、ひと口に肺炎球菌といっても、そのタイプ(血清型)は現在分かっているだけで約90種類も存在します。すべての肺炎球菌に対して一度に免疫をつけるのは難しいため、ワクチンは「特に感染しやすく、重症化しやすいタイプ」を狙って作られています。

「23価」や「20価」ってどういう意味?

ワクチンの名前に付いている「23価」や「20価」という数字。これは、「90種類以上ある肺炎球菌のうち、何種類をカバーしているか」を表しています。

  • 23価ワクチン(ニューモバックスNP):約90種類のうち、代表的な23種類をカバー。
  • 20価ワクチン(プレベナー20):約90種類のうち、特に重症化しやすい20種類をカバー。

「種類が多いほうが得なのでは?」と思われるかもしれませんが、実はワクチンの「作り」にも違いがあります。新しく定期接種に採用された「20価」などの結合型ワクチンは、23価に比べて「免疫の記憶が長く残りやすい」という優れた特徴があるのです。

定期接種はどう変わった?

2026年(令和8年)4月1日から、高齢者の肺炎球菌ワクチン定期接種の仕組みが大きく変更されました。ポイントは大きく分けて2つです。

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    使用するワクチンの種類が変わりました

    これまでの定期接種では「23価ワクチン(PPSV23:ニューモバックスNP)」という種類が使われてきました。しかし、2026年度からは、より新しい「20価結合型ワクチン(PCV20:プレベナー20)」が定期接種で用いられるワクチンとなりました。一度の接種で長期間の予防効果が期待できるため、より効率的な守りが可能になりました。

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    対象者のルールがシンプルに

    かつては「70歳、75歳……」といった5歳刻みの方にも経過措置で定期接種の対象となっておりましたが、2025年3月末でその制度は終了となりました。2026年度からは、原則として「65歳の方」が定期接種の対象となります。

    対象者・接種時期について

    • 対象者:65歳の方(65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日まで)
    • 案内方法:対象者には市から紫色のハガキが65歳の誕生月の月末に送付されます。
    • 例外:60歳〜64歳の方で、心臓や呼吸器、腎臓に重い障害がある方

「自分はいつ対象になるのか?」と不安な方は、ぜひ神戸市から届くハガキを確認するか、当院のような実施医療機関へお気軽にご相談ください。

神戸市における予防接種の受け方

私たちのクリニックがある神戸市でも、この新しい制度に基づいた接種が行われています。

  • 自己負担額について:神戸市の定期接種対象者の方は、自己負担額6,000円で接種が可能です。生活保護世帯や市民税非課税世帯の方は、事前に申請することで無料になる制度もあります。
  • 必要なもの:神戸市から郵送される「接種券(紫色のハガキ)」と、本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証、資格確認書など)を忘れずにお持ちください。
  • 予約について:当院では、体調の良い時にスムーズに接種を受けていただけるよう、定期受診時やお電話等で予約を承っています。

神戸市在住の皆さまが、制度の変更で混乱することなく、適切なタイミングで予防できるようサポートさせていただきます。

専門医が教える「ワクチンの選び方と組み合わせ」

65歳の定期接種対象者以外にも、肺炎球菌の予防をしたいという方のために、ワクチンの選択肢をご紹介します。

21価ワクチン
(キャップバックス)
2025年8月に国内承認された最新ワクチンで、現在の日本で流行している肺炎球菌のタイプを約80%カバーします。免疫の記憶が定着しやすく、長期間の効果が期待できます。現時点では任意接種(全額自己負担)ですが、持病がある方には有力な選択肢となります。
20価ワクチン
(プレベナー20)
2026年4月からの定期接種対象ワクチンです。定期接種対象者以外でも任意接種(全額自己負担)として接種可能です。国内の高齢者の重い肺炎(IPD)の原因菌を約50〜60%カバーします。
23価ワクチン
(ニューモバックスNP)
23種類の肺炎球菌をカバーしますが、免疫の持続性に課題があり、現在の日本で流行している肺炎球菌のタイプのカバー率も低下してきており、現在は定期接種から外れています。
連続接種
15価ワクチン(バクニュバンス)を接種した1〜4年後に23価ワクチン(ニューモバックスNP)を接種する方法です。予防できる範囲(守備範囲)を広げ、免疫をより強固にすることができます。

どのタイミングで、どの組み合わせがご自身に最適なのかは、お一人おひとりの健康状態によって異なります。診察室でじっくりとお話しを聞きながら、オーダーメイドの予防プランをご提案いたします。

呼吸器専門医の医師がシニアの患者様ご夫婦に、2026年度から新しくなった高齢者の肺炎球菌ワクチン定期接種のお知らせについて、優しく丁寧に説明しているイラスト。

谷尻医院が大切にしていること:地域に寄り添う専門外来

「東灘区在宅医療塾」でもお話しした内容になりますが、肺炎を予防するためには、ワクチン接種は非常に重要でありますが、それ以外にも、日頃の口腔ケアや、誤嚥予防のための嚥下リハビリテーション、そして小さな体調の変化を見逃さない「かかりつけ医」との関係が不可欠です。

  • 「喉に違和感がある」
  • 「最近、少し息切れがする気がする」
  • 「なんとなくしんどい」

そんな、病気以前のちょっとした不安こそ、ぜひお聞かせください。

まとめ:あなたの「これから」を守るために

肺炎は、適切な予防で防げる可能性もある病気です。「肺炎はしんどい」という経験をされた患者様の言葉を私たちは重く受け止め、一人でも多くの方が健康な生活を続けられるようお手伝いしたいと考えています。

2026年度から変わった新しい肺炎球菌ワクチン制度について、分からないことがあればいつでもご相談ください。神戸市東灘区の皆さまの「かかりつけ医」「身近な呼吸器の専門家」として、谷尻医院はこれからも皆さまと共に歩んでまいります。

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谷尻医院(呼吸器内科・総合内科)

住所
兵庫県神戸市東灘区御影本町4-10-6(阪神御影駅から徒歩1分)
電話
078-851-3439
専門医
日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会 総合内科専門医、日本アレルギー学会 アレルギー専門医 在籍
対応
肺炎球菌ワクチン定期接種・任意接種、COPD治療、咳喘息・長引く咳の外来など