【連載:高血圧と向き合う 第5回】薬に頼らず下げたい!自分でできる生活習慣改善の6つのポイント
ブログ
【連載:尿酸と向き合う 第2回】今日から実践!尿酸値を下げる「生活習慣改善」の3つの柱

こんにちは。神戸市東灘区、阪神御影駅から徒歩1分の場所にあります谷尻医院です。当院は昭和23年の開院以来、3代70年以上にわたって地域の皆さまの健康に寄り添ってまいりました。現在は、総合内科専門医と呼吸器専門医というふたつの専門医資格を併せ持つ医師が2名在籍しております。風邪などの身近な病気から、高血圧、高尿酸血症などの生活習慣病、専門的な呼吸器疾患まで、幅広く診療を行っています。お一人おひとりの全身の健康に寄り添った、温かく丁寧な医療を大切にしています。
前回の第1回では、高尿酸血症が全身の血管や臓器に及ぼすリスクや、痛風発作が夜間に起きやすい理由などについてお話ししました。
健康診断などで「尿酸値が高い」と判明した際、日々の診察室では、「具体的に何に気を付ければ良いのですか?」、「やっぱりビールがダメなんですよね……」、「お酒はあまり飲まないのですが、なぜ数値が高いのでしょうか?」といった声をよくお聞きいたします。
お酒はもちろんですが、実はそれ以外にも尿酸値を押し上げる要因は日常の中に潜んでいます。今回は、お薬に頼る前に知っておきたい「自力で尿酸値を下げるための生活習慣改善」について、食事・お酒・運動の3つの視点から分かりやすく解説します。
1. 食事療法のポイント:
何をどう食べるか
高尿酸血症の改善に向けた食事療法では、プリン体を気にしすぎる前に、まずはご自身に合った「適正なエネルギー量(カロリー)」を知ることが基本となります。
ご自身の標準体重(身長m × 身長m × 22)を基準に、デスクワーク中心の方なら標準体重に25〜30kcal、立ち仕事の方なら30〜35kcalを掛けた値が1日の摂取カロリーの目安となります。
【計算の例:身長が170cmの方の場合】
標準体重は1.7 × 1.7 × 22 = 63.58 kg となります。デスクワークが中心の方であれば、この63.58 kgに25〜30を掛け合わせた 「約1,590〜1,900 kcal」 が1日の摂取エネルギー量の目安です。
そのうえで、日々の食事では以下のポイントを意識してみましょう。
- プリン体は「1日400mg」を目安に:
尿酸のもととなるプリン体は細胞の核に含まれる成分であり、料理の『旨味』そのものでもあります。プリン体のとり過ぎは尿酸値をあげる原因となりますが、「プリン体を一切食べてはいけない」という極端な制限は必要ありません。ただし、鶏レバーや白子、マイワシの干物といった極端にプリン体の多い食材は控えめにするのが安心です。プリン体は水に溶け出しやすいため、お肉や魚介類は「茹でる」調理法を選び、旨味の出たスープや煮汁を飲み干さないようにするだけでも摂取量を抑えられます。 - 積極的に摂りたい「お助け食材」:
野菜や海藻、きのこ類は、尿をアルカリ性に傾けて尿酸を体外へ排泄しやすくしてくれる心強い味方です。また、低脂肪の乳製品(牛乳やヨーグルトなど)には尿酸値を下げる効果があることが報告されています。 - 意外な落とし穴「甘い飲み物」:
アルコールを飲まないのに尿酸値が高いという方に多いのが、清涼飲料水や果汁ジュースなどの摂り過ぎです。果物やジュースなどに含まれる「果糖」は、体内で代謝される際に尿酸の産生を増やしてしまいます。お茶や水を選ぶ習慣をつけることが大切です。 - 1日2L以上の水分補給:
尿路結石を防ぎ、尿酸をスムーズに体外へ出すためには、お水やお茶などで1日の尿量が2,000mL以上になるよう、こまめな水分補給を心がけましょう。

2. アルコールとの付き合い方:
ビールが「最悪」と言われる理由
「ビールがダメなんですよね?」というご質問通り、実はビールはアルコール飲料の中で最も痛風リスクを高めると言われています。これは、原料の酵母や麦芽に由来するプリン体が豊富に含まれているためです。
しかし、問題はビールだけではありません。アルコールそのものに「体内で尿酸を作らせる」「尿酸の排泄を邪魔する」というダブルの作用があるため、どのお酒であっても飲み過ぎは禁物です。
お酒を楽しむ場合の1日あたりの適量の目安は、ビールなら350〜500mL、日本酒なら1合、ウイスキーならダブル1杯(60mL)程度となります。休肝日を週に2日以上設けながら、付き合っていきましょう。
プリン体ゼロの銘柄やノンアルコール飲料などを選ぶのも良い工夫です。

3. 運動と減量のルール:
激しい運動は逆効果?
「尿酸値を下げるために運動を始めよう!」という意気込みは素晴らしいものです。痛風発作が起こっていないときには有酸素運動をおすすめしていますが、運動の種類には少し注意が必要です。
息が切れるような激しい運動(筋トレや短距離走などの無酸素運動)は、体内のエネルギーを急激に消費するため、かえって大量の尿酸を作り出してしまいます。また、運動で溜まる乳酸が尿酸の排泄を妨げ、痛風発作を誘発するリスクが高まります。
推奨されるのは「じっくり行う有酸素運動」
ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動を、息が上がりすぎない「少し汗ばむ程度」の強さで1日30分以上行うのが最も効果的です。

目標は「3〜6ヶ月で体重の3%減」
肥満は尿酸値を上げる大きな要因ですが、急激なダイエットも尿酸値を一時的に跳ね上げてしまいます。まずは3〜6ヶ月かけて、現在の体重から「3%」減らすことを目標にしてみましょう。これだけでも、血圧や血糖値とともに尿酸値がスムーズに改善しやすくなります。
日々の積み重ねが
「将来の血管と臓器」を守ります
生活習慣の改善は一朝一夕に数値が変わるものではありませんが、無理のない範囲で継続していくことで、確実に体は応えてくれます。
また、当院の専門分野である「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」がある方は、夜間の適切な治療を行うことで体内の低酸素状態が解消され、尿酸の過剰な産生を抑えられる場合もあります。
「自分の生活のどこから見直せばいいのか分からない」「自分に合った運動の強度が知りたい」という方は、ぜひ診察時にご相談ください。皆さまのライフスタイルに合わせた最適なプランを一緒に考えていきましょう。
次回はいよいよ最終回、「痛風発作と向き合う:お薬の役割と『6.0』という目標値」についてお話しします。
谷尻医院(総合内科・生活習慣病外来・呼吸器内科)
関連記事
【連載:高血圧と向き合う 第5回】薬に頼らず下げたい!自分でできる生活習慣改善の6つのポイント
【連載:尿酸と向き合う 第1回】尿酸が高いと言われたら?〜「痛くないから」と放置できない正体とリスク〜
【連載:高血圧と向き合う 第2回】その数値、本当に「高血圧」?高血圧の基準値と「白衣高血圧・仮面高血圧」の正体
【連載:高血圧と向き合う 第4回】目標値「130/80」は厳しすぎ?将来の健康を守るための「基準」
【連載:高血圧と向き合う 第6回】お薬との付き合い方:「一度飲み始めたら一生やめられない」の誤解
