【連載:尿酸と向き合う 第3回】痛風発作と向き合う:お薬の役割と「6.0」という目標値 - 【阪神御影駅徒歩1分】神戸市東灘区の呼吸器内科・内科|谷尻医院

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コラム生活習慣病関係院長ブログ

【連載:尿酸と向き合う 第3回】痛風発作と向き合う:お薬の役割と「6.0」という目標値

【連載:尿酸と向き合う 第3回】痛風発作と向き合う:お薬の役割と「6.0」という目標値

こんにちは。神戸市東灘区、阪神御影駅から徒歩1分の場所にあります谷尻医院です。当院は昭和23年の開院以来、3代70年以上にわたって地域の皆さまの健康に寄り添ってまいりました。現在は、総合内科専門医と呼吸器専門医というふたつの専門医資格を併せ持つ医師が2名在籍しております。風邪などの身近な病気から、高血圧、高尿酸血症などの生活習慣病、専門的な呼吸器疾患まで、幅広く診療を行っています。お一人おひとりの全身の健康に寄り添った、温かく丁寧な医療を大切にしています。

全3回でお届けしてきた尿酸連載も、いよいよ今回が最終回です。これまでに高尿酸血症のリスクや生活習慣の改善についてお話ししてきましたが、今回は実際に痛風発作が起きてしまった時の対応と、お薬を使った正しい治療のゴールについて詳しく解説します。

日々の診察室では、激しい痛みを経験された患者様からこのようなご相談をいただくことがあります。

  • 「痛風発作が起こってしまったので、すぐに尿酸を下げるお薬をください!」
  • 「なんとなく関節がむず痒くて、痛風を起こしそうな前兆を感じることがあるんです」
  • 「あんな痛い思いは二度とごめんです。もう痛風発作を起こしたくないので、定期的にお薬を飲みたいです」

激しい痛みや不安を抱える患者様のお気持ちはとてもよく分かります。しかし、実は「発作が起きている最中」と「発作が治まったあと」では、お薬の役割が大きく異なります。

痛風発作が起きたら:
まずは「痛みと炎症」をしっかり抑えます

激しい痛みが走る痛風発作(急性痛風関節炎)は、関節の中に溜まった尿酸の結晶に対して体が反応し、激しい炎症を起こすことで生じます。

発作が起きた際、診察室で「今すぐ尿酸値を下げる薬を!」とおっしゃる方が多いのですが、実は発作の最中に急激に尿酸値を下げると、関節の中の結晶が崩れてかえって発作が長引いたり悪化したりすることがあります。

そのため発作が起きた直後は、尿酸を下げるのではなく、「まずは痛みと炎症を鎮めること」を最優先にした治療を行います。

発作時の治療法

消炎鎮痛薬(NSAIDs)やステロイドなどのお薬を用いて、まずは強い痛みと炎症を素早くコントロールします。患部を高く保ち(挙上)、無理に動かさず、冷やすことも痛みを和らげるのに有効です。

痛風発作時の正しい対処法。発作時はまず炎症・痛みを鎮め、治まってから尿酸値を下げる

「前兆」を感じたとき

「関節がムズムズする」「違当感がある」といった発作の前兆を感じた段階では、「コルヒチン」というお薬を服用することで、本格的な発作を未然に防いだり軽く抑えたりできる場合があります。前兆を感じる方はご相談ください。

治療のゴールは
「6.0 mg/dL以下」を維持することです

痛みが引き「もう二度とあの痛みを味わいたくない」と思われる方はもちろんですが、「痛くなったことはないけれど健診で数値が高かった方」や「高血圧や腎臓病などの持病をお持ちの方」にとっても、ここからが将来の体を守る大事なスタートとなります。

本当に大切なのは、痛みのない時期(あるいは症状がない段階)から尿酸値を適切にコントロールし、体内に溜まった結晶を溶かし切るとともに、血管や臓器へのダメージを防ぐことです。

お薬(薬物治療)を検討するガイドラインの基準

日本のガイドラインでは、尿酸値が 7.0 mg/dL を超えると「高尿酸血症」と診断されますが、お薬を使った治療を始めるタイミングは、発作の経験や持病(合併症)の有無によって以下のように判断します。

  • 痛風発作を起こしたことがある方・痛風結節がある方
    尿酸値が 7.0 mg/dL を超えている場合、再発を防ぎ結晶を溶かすために原則として薬物治療を行います。
  • 痛風発作の経験はないが、合併症がある方
    高血圧、腎臓病(CKD)、糖尿病、メタボリックシンドローム、尿路結石などの合併症がある方は、血管や臓器を守るため尿酸値 8.0 mg/dL を超えている場合、お薬の服用を検討します。
  • 痛風発作の経験も、合併症もない方
    まずは食事や運動などの生活習慣改善が基本となりますが、尿酸値が 9.0 mg/dL 以上と著しく高い場合は、無症状であってもお薬による治療を検討します。

なぜ「6.0」という数値を目指すのか

尿酸が体液に溶ける限界値(飽和溶解度)は約6.4 mg/dLです。そのため、すでに体内に溜まってしまった尿酸の結晶をじわじわと溶かして体外へ排泄し、新たな結晶化を防ぐには、血液中の尿酸値を「6.0 mg/dL以下」に保ち続ける必要があります。

尿酸値6.0 mg/dL以下を保つことで結晶がゆっくり溶けるメカニズム

根気強い継続が大切です

発作の痛みが消えたから、あるいは「痛くないから」といって治療を放置してしまうと、目に見えないところで結晶が溜まり続け、突然の痛風発作や血管・臓器障害を引き起こしてしまいます。結晶が完全に消えてお身体が安定するまで、根気強く数値を管理していくことが将来の健康を守る確実な道筋となります。

知っておきたい「尿酸を下げるお薬」の種類

「尿酸降下薬」は、患者様の体質や状態に合わせて大きく2つのタイプから選択します。

  • 1. 尿酸がつくり出されるのを抑えるお薬(尿酸生成抑制薬)
    体内で尿酸が過剰に作られてしまうタイプの方に適したお薬です。
  • 2. 尿酸の排泄を助けるお薬(尿酸排泄促進薬)
    腎臓から尿へ尿酸を出す力が弱いタイプの方に適したお薬です。最近では、腎臓での尿酸の再吸収を選択的にブロックし、より身体への負担を抑えた新しいタイプのお薬も登場しています。

専門医の視点:全身の健康をトータルで守ります

当院では、単に尿酸値の数値だけを見るのではなく、全身の血管や臓器の状態をトータルで管理することを大切にしています。

高血圧との同時ケア

高尿酸血症は高血圧を併発しやすく、どちらも放置すると血管に負担をかけます。降圧薬の中には尿酸値を下げる効果を併せ持つものもあり、患者様のお身体に合わせて最適な組み合わせを検討します。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)との関係

当院の専門分野でもあるSASがあると、夜間の低酸素状態によって体内で尿酸が過剰に作られてしまいます。いびきや日中の強い眠気がある方は、SASの治療を並行して行うことで、尿酸値の管理が格段にスムーズになるケースが多くあります。

トータルケアで叶える元気に過ごす未来像。尿酸値ケア、血圧ケア、睡眠(SAS)ケア

おわりに:将来の健康を守る一歩を

「一度お薬を飲み始めたら一生止められないのでは?」と不安に思われるかもしれません。しかし、適切な管理によって尿酸値が安定し、生活習慣の改善が進めば、お薬を減らしたり維持できたりする可能性も十分にあります。

何より、尿酸値を正しくコントロールすることは、10年後、20年後のあなたの大切な腎臓や血管を守る「未来へのケア」です。

健康診断で尿酸の数値が高かった方、一度でも痛風発作の経験がある方は、ぜひ阪神御影駅前の当院へご相談ください。地域の皆さまがいつまでも健やかに過ごせるよう、専門医が温かくサポートさせていただきます。

3回にわたる連載を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

医師と笑顔の患者さんたち

執筆者情報

谷尻医院 院長:谷尻 力

(日本内科学会 総合内科専門医 / 日本呼吸器学会 呼吸器専門医 / 日本アレルギー学会 アレルギー専門医)

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谷尻医院(総合内科・生活習慣病外来・呼吸器内科)

住所
兵庫県神戸市東灘区御影本町4-10-6(阪神御影駅から徒歩1分)
電話
078-851-3439
専門資格
日本内科学会 総合内科専門医、日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本アレルギー学会 アレルギー専門医 在籍
対応診療
高血圧・脂質異常症・糖尿病・高尿酸血症などの生活習慣病、睡眠時無呼吸症候群、長引く咳、喘息外来など

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