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【医師が解説】インフルエンザと肺炎球菌のワクチンで肺炎予防!相乗効果で冬の健康を守る

まだ日中の暑さが残る時期から朝晩の冷え込みが気になる季節へと移り変わり、皆様いかがお過ごしでしょうか。谷尻医院には、最近風邪気味の方にまじり、インフルエンザにかかられる方も少しずつ増えてまいりました。ニュースなどでも例年より早い流行が報道される中、ご自身の健康やご家族の体調管理について不安を感じていらっしゃる方も多いことと存じます。
今回は、これからの寒い季節に向けて特に知っていただきたい「インフルエンザワクチン」と「肺炎球菌ワクチン」の重要性と、ふたつを併せて接種する大切さについてお話しいたします。
1. 高齢者の肺炎が命に関わるだけでない「QOLの低下」という本当の怖さ
風邪をこじらせて肺炎になる、というお話はよく耳にされるかと思います。日本の統計において肺炎は死因の上位に位置しており、食べ物などが誤って気管に入る誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)などを合わせると、極めて高い死亡割合を占める重大な病気です。さらに、肺炎による死亡全体の約98%以上が65歳以上の高齢者という現実があります。
しかし、医療の現場で私たちが最も強く感じている肺炎の本当の怖さは、命に関わることだけではありません。それは、治療のための「入院」が、その後の暮らしを大きく変えてしまうという点にあります。ご高齢の方にとってベッドの上での生活は想像以上に体力を奪い、動かずにいるだけで全身の筋肉は急激に衰えてしまいます。
これを医療の世界ではフレイル(虚弱)の進行と呼びますが、肺の病気自体がお薬で綺麗に治っても、退院する頃には自力で立ち上がれなくなるといった、生活を営む力が一気に失われてしまうことが多々あります。だからこそ、肺炎はかかってから治療すればいい病気ではなく、大切な普段の暮らしを守るためにかからないよう予防することが何よりも大切なのです。
2. インフルエンザから肺炎へ繋がる「忍び寄るドミノ倒し」
この恐ろしい肺炎を引き起こす入り口の1つが、インフルエンザです。
インフルエンザウイルスが体の中に入り込むと、のどや気管支の粘膜に強い炎症を起こし、気道に備わっている優れたバリア機能(線毛の運動や潤いのある粘膜)を激しく破壊してしまいます。バリアが壊れた気道は、いわば鍵の壊れてしまった家のような状態となり、普段なら跳ね返すことができる空気中の様々な細菌が、いとも簡単に肺の奥深くまで侵入して定着してしまいます。この時、肺炎を引き起こす最大の原因となるのが「肺炎球菌」という細菌です。
インフルエンザにかかった方が肺炎を合併したときの病原体をみてみますと、肺炎球菌が最も多いことがわかっています。
インフルエンザにかかった後に熱が下がって安心した頃、再び高い熱が出たり息苦しくなったりするのは、このドミノ倒しによって肺炎球菌などの細菌が二次的な感染を引き起こしているサインです。この危険な連鎖を未然に防ぐためには、インフルエンザそのものの予防と、その後に待ち構えている肺炎球菌の予防という、2つのワクチン接種が極めて重要になります。
3. 持病を抱えるお体と、感染症がもたらす重いリスク
「糖尿病や高血圧で薬を飲んでいるけれど、予防接種は受けてもいいのだろうか」と悩まれる方もいらっしゃいますが、こうした持病をお持ちの方こそ、ワクチン接種が強く推奨されています。
糖尿病や心臓病、慢性呼吸器疾患(喘息やCOPDなど)をお持ちの方は、健康な方に比べて免疫力が低下しており、一度感染すると急激に重症化しやすいことが分かっています。例えば、糖尿病をお持ちの方は、血糖コントロールが不安定であると肺炎球菌に対する抵抗力がさらに低下し、血液や髄液にまで細菌が入り込む重い感染症(侵襲性肺炎球菌感染症)を引き起こすリスクが、健康な方に比べて約1.4倍から4.6倍にまで跳ね上がります。
4. インフルエンザワクチンの役割
皆様の体を守る「ふたつの盾」の1つ目であるインフルエンザワクチンは、毎年の流行期に備えて接種することで、発病そのものを抑える効果があります。万が一かかってしまった場合でも、重症化や肺炎、入院のリスクを大幅に減らすことができます。実際に、高齢者の入院を約30%減少させ、死亡を約80%減少させたことが報告されています。
5. 肺炎球菌ワクチンの役割
もう1つの盾である肺炎球菌ワクチンは、普段の生活の中でかかる肺炎の主要な原因菌である肺炎球菌に対して、発症や重症化を防ぐ役割を持っています。
これらふたつのワクチンを併せて接種することで、片方だけを接種するよりも、肺炎による入院や慢性肺疾患の急激な悪化のリスクがさらに低くなるという「相乗効果」が明らかになっています。また、糖尿病や心臓病、慢性呼吸器疾患などの持病をお持ちの方は一度感染すると急激に重症化しやすいため、積極的なワクチン接種が強く推奨されています。
6. 新しくなった肺炎球菌ワクチンとご家庭での対策
肺炎球菌ワクチンについては、2026年度(令和8年度)から、65歳になる方を対象とした定期接種の制度が変わりました。谷尻医院のホームページ(健康診断・予防接種のページをご参照ください)にもご案内しておりますが、下のフローチャート(わかりやすく簡素化しております)のように、65歳の方は定期接種の対象になっております。また、66歳以上の方で肺炎球菌ワクチン未接種の方も、任意接種という形で接種していただけます。

「自分は以前に肺炎球菌ワクチンを打ったから大丈夫だよ」という方も、ぜひ一度ご相談ください。過去に受けた一部の肺炎球菌ワクチンは、接種後約5年程経過すると効果が弱まってしまうことが確認されています。そのため、過去に別の肺炎球菌ワクチンを接種された方にも、今の状態に合わせた最適な接種スケジュールをご提案させていただきますので、どうぞお気軽にご相談ください。
また、ワクチン接種に加えて、外出後の手洗いやうがい、栄養バランスの取れた温かいお食事、十分な睡眠といったご家庭での毎日の習慣も、呼吸器を守るための大切な基本となります。
7. 谷尻医院が皆様の健康の盾となります
谷尻医院は、神戸市東灘区で3代にわたり70年以上、地域の皆様の健康に寄り添ってまいりました。呼吸器と総合内科の専門医資格を持つ2名の医師が、皆様お一人おひとりのライフスタイルに合わせた無理のない改善方法を一緒に考え、丁寧にサポートいたします。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種をご希望の方、または少しでもご相談してみたいと思われましたら、どうぞお気軽にご来院ください。皆様をお待ちしております。

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谷尻医院(総合内科・生活習慣病外来・呼吸器内科)
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